書道や筆耕をしていると「きれいに書くこと」が大事だと思いがちですが、実はもっと大事なことがあります。
それは 誤字をしないこと です。
誤字は読み間違いだけでなく、そもそも漢字を思い違いしてしまうケースもあります。線を一本多く書いたり、点を忘れたり…誰にでも起こり得ることです。
常用漢字だけでも2136字。さらに人名や地名となると常用外の漢字にも出会います。すべてを頭に入れておくのは理想ですが、人間の記憶には限界があります。だからこそ「辞書を引く」習慣が欠かせません。
今回は、筆耕士・書道家にとって心強い味方となる辞書を紹介します。
必ず持っておきたい辞書
・漢字辞典(小学生用がおすすめ) 教科書体で掲載されているものが多く、手書き文字に近い形で確認できます。
・筆順辞典 正しい筆順は美しい字形の基本です。楷書は誤魔化せても、行書は正しい筆順でないと破綻します。僕は筆順辞典が大好きで、眺めているだけでも楽しくなります。
持っておくと学びが深まる辞書
・楷書・行書・草書の辞典
・古典の辞典(五體字類、角川書道辞典など)
必須とまでは言いませんが、書道の理解を広げたい方には強くおすすめします。
江守賢治先生の「筆順・字体辞典」のように、筆順と楷書・行書・草書をまとめた辞典もありますので、効率的に学びたい方はそちらも選択肢になります。
辞書を引く習慣が信頼につながる
筆耕コムを立ち上げたばかりの頃、初めての卒業証書シーズンで7校・400枚近くを揮毫しました。
そのとき、僕は200回以上辞書を引きました。とにかく不安に思ったら、端から引いていました。
今では年間70校・4000枚を書いています。経験値が増えた分、調べる回数は減りましたが、それでも少しでも迷いがあれば必ず辞典を開きます。
正確に書くことは依頼者からの信頼を得るための最強の武器です。練習中から、辞書を積極的に活用する習慣をつけていただきたいと思います。
漢字辞典は「引き方」が大事
漢字辞典には、読み方から探す方法もありますが、原則は「部首と画数から引く」ものです。
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、辞書を引くたびに部首を覚えられるので、漢字理解そのものが深まります。
実際に筆耕の現場では、読み方が分からない名前の漢字に出会うことも少なくありません。そういう時に「部首引き」で検索できる力は大きな武器になります。
ですから、ぜひたくさん辞書を引いて、引き慣れておく習慣 をつけてください。
今回のテーマは「辞書」でしたが、これは単なる補助道具ではなく、筆耕の精度と信頼性を守るための必須アイテムです。
ぜひ手元に置いて、日々の練習や仕事に役立ててください。
学びの世界では、師匠や先輩から「常にアンテナを張りなさい」と言われることがあります。実は、僕自身もずっと言われ続けてきた言葉ですし、皆さんにも意識してほしい大切な姿勢です。
では、その「アンテナを張る」とは具体的に何をすることなのでしょうか。
● 賞状筆耕でいう“アンテナ”
例えば、街で賞状を見かけたら、ただ眺めるのではなく、じっくり観察してみることです。
賞状と言っても、色々なタイプがあります。
・きっちりレイアウトされたもの
・フリーハンドで書かれたもの
・文字の主張が強いもの
・芸術書道のように書かれたもの
さらに、整った賞状の中にも、僕たちが常識だと思っている理論とは違うレイアウトや字配りが使われていることがあります。
たとえば── ・なぜこの文字だけ大きいのか? ・ここの空間は広すぎないか? ・もし自分ならどうレイアウトするか?
このように観察し、否定ではなく「吸収する姿勢」で見ることで、学びの幅は大きく広がります。
●街じゅうが教材になる
観察の対象は賞状だけではありません。筆文字に目を広げれば、街は教材の宝庫です。
・店の看板
・商品パッケージやロゴ
・テレビ番組のタイトル
・スーパーの手書きPOP など
それぞれの文字には必ず「理由」や「意図」があります。
「なぜこの形なのか」「この線にしたのは何故か」と想像するだけでも勉強になりますし、何より面白いものです。
●アンテナを張る意味とは
いろいろな作品や文字を見ることで、自分の“当たり前”は絶対ではないと気づきます。
視野は広がり、人間としての柔らかさも育ちます。
アンテナを張ることは、特別な才能ではなく“習慣”です。日常の中でちょっと意識するだけで、技術も感性も変わっていきます。
僕自身も意識して実践中です。日々の生活から学びを拾える人でありたいですね。
賞状筆耕を学び、将来フリーランスとして活動したいと考えている方にとって、ホームページの運営は避けて通れないものです。
外注する方法もありますが、大枠の仕組みだけでも理解しておくと、業者への指示が格段に伝わりやすくなります。
・レンタルサーバー
ホームページを“家”に例えるなら、サーバーはその“土地”です。月額または年額で土地(=サーバー)を借り、その中に自分のホームページを建てていきます。
・ドメイン
ドメインはインターネット上の“住所”に当たります。たとえば筆耕コムの「https://筆耕.com」がそれにあたります。
昔、日本語ドメインが流行したので「筆耕.com」を取得しましたが、現在は英数字のドメインの方が扱いやすく、検索面でも無難です。
・HP作成ソフトとCMS
ホームページを作るための“道具”にあたる部分です。
パソコンにインストールする従来型のHP作成ソフトに対し、WordPressのようなCMS(コンテンツ管理システム)は、インターネット環境さえあればどこからでも更新できます。
今では多くのホームページ制作業者がWordPressを採用しているため、基本だけでも知っておくと便利です。
・その他の知識
SEO・セキュリティ・アクセス解析・SNS連携など、運営を続けていくなかで少しずつ理解すれば十分です。
まずは「サーバー」「ドメイン」「CMS(WordPress)」この三つが何を意味するのかを押さえておきましょう。
いずれも高額ではありませんので、将来的に自分のサイトを作りたい方は、試しに一度作ってみることをお勧めします。理解が早くなり、自信にもつながります。失敗しても作り直せば大丈夫。
最後に一点だけ。
インターネット上の画像や文章には著作権があります。無断使用は厳禁です。実は僕自身、画像を何度も勝手に使われています。無断使用はトラブルの元になりますので、どうかご注意ください。
前回のメルマガでは、フリーランスを目指す人に向けて「ホームページの仕組み」についてお話ししました。今回はその続きとして、筆耕の仕事におけるパソコンの必要性についてお伝えします。
まず最初に、筆耕そのものは紙と筆さえあればできるので、パソコンがなくても作業自体はできます。ただ、フリーランスとして仕事をしていく場合は、パソコンが必ず必要になります。
では、僕が日々どんなことをパソコンで行っているのか、主な作業を挙げてみます。
・メールでのやり取り
・納品物に入れる挨拶文の作成
・賞状や目録のレイアウト計算
・見積書・請求書の作成
・作品の画像整理
・ホームページの制作・管理
・ブログやSNSの更新
・動画編集
・顧客管理
・売上管理
・確定申告の書類作成と e-Tax
・その他の事務作業全般
使っている主なソフトは、Word(文章作成)、Excel(表計算)、PowerPoint(資料作り)、Filmora(動画編集)、Photoshop(画像編集)、InDesign(冊子編集)、Adobe Express(画像生成)などです。
売上や請求関係は「弥生」のソフトで管理しています。
さらに、僕が運営している「賞状筆耕プロコース」の通信講座も、すべてパソコンがあってこそ成り立っています。大げさに聞こえるかもしれませんが、僕にとってパソコンは仕事そのもの。パソコンがなければ、正直、生活も成り立たなくなってしまいます。
このメルマガを読んでいる皆さんの中には、パソコンに慣れている人もいれば、あまり触ったことがないという人もいると思います。筆耕は手書きの技術ですから、筆耕会社や印刷会社の下で筆耕実務だけを担当するなら、パソコンが不要なこともあります。
でも、フリーランスとして自分で仕事を進めていくなら、パソコンを使えることは必須です。
とはいえ、不安に思う必要はありません。まず触れておきたいのは Word と Excel ですが、パソコン教室に通うほどではありません。教室では細かいことまで教えてくれますが、実際の筆耕の仕事ではその多くを使いません。
それぞれのソフトが「何に使えるものなのか」を知り、必要な部分だけ覚えれば十分です。
もし将来フリーランスとして働きたい、あるいは自分の技術を活かしたいと思っているなら、少しずつパソコンに慣れていくのがおすすめです。きっと大きな武器になりますよ。
「書道を習えば字は綺麗になるのか?」・・・これはよくいただく質問ですし、ネット上でも時折、議論されています。
結論としては、「上達する人はするし、しない人はしない。」この一言に尽きます。少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、理由があります。
そもそも、美文字とは何でしょう。まず大切なのは読みやすさ、つまり「可読性」です。相手がスッと読めること、これが最低条件です。
次に、書く場面ごとの整え方。
例えば名前の欄なら、中心が揃っているか、大きさは適切か、字間が乱れていないか。このあたりが整うと、印象がぐっと良くなります。
文字そのものについても、中心や上下左右のバランス、空間の取り方が大切です。
「右上がり」や「重心」など細かなポイントもありますが、まずは優先度の高い部分から意識していくことで、自然と整っていきます。
そしてもう一度本題へ。「書道を学ぶと美文字になるのか?」
答えは、学びながら「なぜ美しく見えるのか?」を考えられるかどうかです。ただお手本を真似するだけでは、美文字には結びつきません。
筆耕などの実用書道の世界では、読みやすさと整え方が重要視されます。これは日常でも活かせる考え方で、美文字へ直接繋がるルートです。
せっかく書道に触れているのなら、「ただ書く」から一歩踏み出し、「整える・意識する」へ。そうすることで、文字は自然と美しく変わっていきます。
ゆっくりで構いません。今日書く一文字から始めてみてください。