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卒業証書の筆耕
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前回のメルマガやアメブロでも時々書いていますが、今は卒業証書の筆耕の繁忙期です。僕も例に漏れずたくさん書いていますが、筆耕士さんの中ではとんでもない量を書いている方もいらっしゃいます。
あくまで肌感覚ですが、筆耕ができる職人さんが少ないのか、特定の人に集中しているように感じます。ほんとは地元の学校は地元の筆耕士さんが書くのが理想だと思うけどなあ。
卒業証書の筆耕に興味のある方、今シーズンは佳境に入ってしまいましたが、来年以降、自分でできると思ったらどんどん挑戦していきましょう。
そのための知識や技術の習得、ターゲットとなる学校や教育委員会、料金設定や請求方法など、少しずつ調べておきましょう。
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筆順について
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漢字・ひらがな・カタカナ、それぞれには決められた筆順があります。そんな筆順ですが、正確に覚える必要はあるのでしょうか?
先に答えを言うと「YES」です。
一般の方はそんなに神経質になる必要はありませんが、「書道」を学んでいるのであれば、正確な筆順を覚えましょう。
筆順は明治期に定められたものがほとんどですが、「習慣・行書・字形」が元になって定められていることが多いです。
・「習慣」とは、これまで多くの人が書いてきた流れからの筆順。
・「行書」とは、行書の書き方を参考にした筆順。江戸時代までは行書や草書が一般的な文字で、楷書が書けるほうがレアでした。今とは逆ですね。楷書の筆順を考える際に行書の筆順を参考にしていると言うことです。
・「字形」とは、綺麗な字形にするための筆順ということ。筆順が違うと字形が変わってしまうことってよくあります。例えば「右」「左」「有」「布」「皮」などが典型例です。
気がついた方もいるかもしれませんが、「習慣・行書・字形」ということは、正しい楷書の筆順を知らないと行書が書けないということです。今後、行書も習得したいと考えているなら、今から少しずつ覚えていきましょう。
今はスマートフォンに「筆順辞典」のアプリが何種類もあるので、1つ入れておくといいでしょう。心配になったらその都度調べてみてください。
さらに1歩進んで、上のレベルを目指すのであれば、複数の筆順を覚えることをお勧めします。
例えば「書」の縦画ですが、何番目に書きますか?
標準は6画目です。しかし、10画目(最後の画)も正解です。両方ともに許容の筆順なので、どちらで書いても構いません。※4画目じゃないよ。
「書」のように複数の筆順を持つ文字もたくさんあります。これらはスマホのアプリでは調べられないので、本格的な筆順辞典も1冊持っておくといいでしょう。
ここまで筆順の大切さについて書きました。とは言っても、あまり神経質にはならないでください。仮に間違った筆順を思い込んでいても恥ずかしいことではありません。気がついたときに修正すればいいだけの話です。
新しい知識の習得は自分のステップアップに繋がります。こんな楽しいことはありません。全ては遊び感覚で取り組んでください。
遊びは努力に勝りますので♪
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書写検定について
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最近、書写検定についてのご質問が重なったので、ここでシェアします。
興味のない方はスルーしてください。
書写検定とは、一般財団法人 日本書写技能検定協会が主催する「硬筆書写技能検定」と「毛筆書写技能検定」の略称です。そんな書写検定は履歴書の資格の欄に記載できる、書道の唯一の公的資格になります。
ま、英検や漢検みたいなものです。
完全なオープン試験なので、書道団体は一切関係ありませんし、書道を学んでいなくても試験を受けることは可能です。
僕の考えとして、書道で収益を得たり、人に文字を教える立場であれば、2級以上は取得しておいた方がいいと思っています。
これは級を持っていることよりも、級を受けるために学習して身につけた知識や技術が実務に役立つからです。実際、卒業証書の名入れ業務を行っている際に、たくさんの難しい漢字や、珍しい異体字に出逢います。
そんなとき、依頼主の学校の先生に説明することができます。文字の説明ができると、学校の先生からの信頼はより増します。結果、いい仕事をスムーズに進めることができるのです。
そんな書写検定ですが、これから初めて挑戦する方もいらっしゃるので、まずどうすればいいのか?をご紹介します。
まず挑戦を決めたら日本書写技能検定協会のホームページを覗きましょう。試験の日程や会場がわかり、申し込みもできます。教材・参考書・用具の販売も便利です。
https://www.nihon-shosha.or.jp/
そして、「公式テキスト」を入手しましょう。硬筆、毛筆のそれぞれあるのですが、これらは日本書写技能検定協会のホームページで入手可能です。アマゾンや楽天でも購入可能だと思います。
この公式テキストには、試験の流れ、道具、必要な知識と技術、問題例などが記載されています。代表的な旧字体・書写体・変体仮名の一覧も付属しているので、教材として役立ちます。
このテキストを見れば各級によって必要な古典もわかるので、これに沿って必要な書籍を用意して学習すればいいでしょう。
まずは公式テキストの入手からスタートしてみてください。
僕は時々、千葉会場の試験の監督官を頼まれて出没します。また、日本書写技能検定協会のホームページ(カクサーチ)に「賞状筆耕プロコース」のリンクを貼っていただいています。でも、決して協会の回し者ではありません( ̄∇ ̄)
また、試験の受験は推奨しているだけであり、強制はしません。筆耕の仕事に直接関係はありませんし、試験勉強に時間も割きますのでね。あくまで、自分を高めるための手段としてお考えください。
もし、試験に挑戦したい、または実際に挑戦中で疑問や質問があったら、添削課題にメモでも入れておいてください。可能な限りご返答します。
ああ、また長文になってしまいました。今回はこの辺で失礼します!