2024年9月|賞状筆耕プロコースバックナンバー

2024年9月|賞状筆耕プロコースバックナンバー

2024年9月

 

24/09/07 12:12:20

 

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手元にあった方がいい本
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筆耕の仕事は文字を書く仕事です。文字を書くということは、誤字は絶対にダメですし、文字の使い方にも注意が必要です。

 

今回は、プロ筆耕士なら手元にあった方がいい本2冊をご紹介します。

 

 

1、漢字辞典

 

プロ筆耕士にとって漢字辞典は必須です。特に手書きの原稿の場合、正確な字形で書かれているとは限りません。

 

また、自分で「あれ?」と少しても文字に対して疑問に思ったときは、疑問を持ったまま書くのではなく、こまめに漢字辞典で調べて疑問をクリアにしましょう。

 

漢字辞典はアプリでも紙の書籍でも構いません。僕の場合は教科書体を確認したいこともあって、小学館の小学生用の漢字辞典も1冊持っています。

 

一般の漢字辞典は活字(明朝体など)で書かれていることがほとんどです。活字は手書きと字形が異なることが多いので、注意が必要です。

 

一方、小学生用は教科書体で書かれていることがほとんどなので、教科書体を調べたい時にも役立ちます。

 

卒業証書の名入れは教科書体で書きます。正確には教科書体と書道の伝統的な書き方の中間なのですが、依頼先の学校が納得できる書き方を探るためにも小学生用の漢字辞典が重宝します。

 

卒業証書の名入れを初めて受注した頃は、漢字辞典は手放せませんでした。1校仕上げるのに20回くらい引いていたと思います。それほど慎重に書いていたということですね。

 

 

2、筆順辞典

 

漢字には漢字ごとに決められた筆順(書き順)があります。筆耕など書道のプロであれば、正確な筆順は知っておいた方がいいです。

 

実際に文字を書くときは、正確な筆順で書く必要はないのですが、それはあくまでアレンジであって、正確な筆順を知っていることを前提としてください。

 

僕が持っている筆順辞典は「江守賢治先生」の書籍です。江守先生は「文部科学省後援 硬筆・毛筆書写技能検定」の立ち上げに尽力された方で、実は僕の師匠の師匠にあたります。

 

江守先生の筆順辞典の特徴は、複数の筆順もしっかりと書かれていることです。筆順は1つではなく、複数ある漢字もたくさんあります。

 

楷書だけでなく、行書を書く際にも必要になるので、できれば複数の筆順がある場合もしっかり覚えましょう。

 

目標は常用漢字全ての筆順ですが、まずは小学校で習う1026文字を覚えましょう。

 

大変そうですが、実際は小学1年から3年までの基本文字の筆順さえ覚えてしまえば大丈夫。あとは応用なので安心して下さい。

 

 

まとめ

 

今回は「漢字辞典と筆順辞典は持っておきましょう」というお話でした。理想は、小学校の教師に指導できるレベルです。

 

質問された時に答えられるように、今のうちから少しずつ知識を蓄積しておきましょう。

 

僕がいま、皆さんにこれを言うということは、過去に小学校の先生と色々とやりとりをしたということです。

 

明朝体と手書き文字は全く異なるのですが、明朝体が絶対と考える先生、ミリ単位で字形を指摘する先生、色々いらっしゃいました。

 

僕は全て撃退してきましたが、それは全て知識があったからです。知識は武器になることを知っておきましょう。

 

あ、もちろん穏便に!ですよ。

 

 

24/09/14 12:12:21

 

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いろいろある筆耕のお仕事
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先日、僕が以前所属していた日本賞状技法士協会の展覧会を見てきました。そこで、師匠や様々な先生方、旧知の現役筆耕士さんとお話して情報交換することができました。

 

今回は、現役の筆耕士さんがどんな仕事をしているのか、情報をシェアします。

 

その前に、僕は完全フリーランスなので、仕事の受注・筆耕業務・請求と経理、全て一人で完結しています。これは1つの例として、そのほかにはどんな形態があるのか、ご紹介します。

 

今回お話した中で、実際に筆耕の仕事をしている先生や生徒さんは4人いらっしゃいました。

 

 

・筆耕会社への登録

 

ほとんどの方が、1社か2社の筆耕会社や印刷会社に登録しています。登録先からは賞状・宛名・式辞・リボンなどの依頼が来るそうです。

 

やはり賞状が最も難しいので、経験が浅い人は宛名中心、経験が多い人は賞状中心になっているようです。筆耕会社の方で、その辺も考えて仕事を振っているみたい。

 

 

・神社やお寺の御朱印

 

御朱印を書いている方もかなりいるみたいです。鎌倉の某神社で御朱印を書いている旧知の筆耕士さんの話では、同じ神社にもう二人、僕の知り合いの筆耕士さんがいらっしゃるそうです。

 

御朱印は神主さん、巫女さん、僧侶さんが書いているイメージがありましたが、観光客が多い大きな神社やお寺はクオリティを高めるために、筆耕士を雇うことが多いそうです。

 

あと、年末年始はお札の需要が一気に高まり、書き手が不足するので短期の求人が出るようです。そう言えば、僕も昔誘われたことあったなあ。

 

 

・ハイブリッド戦略

 

あとは、筆耕よりも芸術書道に近いかもしれませんが、書道教室やカルチャーセンターで先生をやっている方、デザイン書を提供している方、いろいろ聞くことができました。

 

フリーランス、筆耕会社、御朱印、これらのハイブリッドの方が多く、僕のようにフリーランス1本というのはレアのようです。

 

確かに、商売は集客で決まります。フリーランスの場合は自分で集客する必要があるので、ハイブリッドで始めて、徐々にフリーランスの比重を高めるのが現実的だと思います。

 

以上、今回得てきた情報

 

でした。また、新しい情報があったら紹介していきます。

 

 

24/09/21 12:12:27

 

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筆耕ではどんな筆を使う?
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筆耕士にとって筆は最も重要な道具です。筆がなければ文字は書けません。文字が書けないということは仕事ができなということになります。

 

そんな筆ですが、賞状筆耕のような細字を書く際は小筆を使います。小筆といっても色々ありますが、極論を言ってしまうとどれを使っても構いません。

 

そう聞くと、かえって迷ってしまいますよね。そこで、まずは僕がよく使う筆を挙げてみます。

 

・西野天祥堂「写楽3号」
・選毫圓健(中)
・双料写巻(中)
・・・
・・・

 

写楽は面相筆で寿命が長いいい筆です。最も愛用していたのですが、原材料不足により入手困難になっています。今は1年以上待たないと買えないと聞いています。僕は新規で買うのを諦めました。

 

選毫圓健は唐筆で最もポピュラーな筆です。選毫圓健は様々な工房でつくられていて、工房により若干の太さや長さの違いがありますが、総じて無難な筆といえます。

 

選毫圓健は書道用品店であれば購入できる可能性が高いです。また、楽天でも購入可能です。僕は、いつも営業ハガキをくれる、東京青砥の亮和堂さんで買っています。

 

双料写巻は唐筆で、選毫圓健に次いでポピュラーな筆です。この筆も入手は難しくありません。楽天で購入できます。僕は、昔まとめ買いしたものを使っています。

 

その他、前述の亮和堂さんのオリジナルの筆や直感で購入した筆を使っています。

 

筆を選ぶ際は穂先のサイズだけ注意してください。穂先のサイズは以前ブログで解説しているので参考になるかと思います。※普通の小筆のサイズならほとんど大丈夫です。

 

https://ameblo.jp/syo-do-work/entry-12777388439.html

 

サイズさえ間違えなければどんな筆を使っても構いません。僕も仮名用の筆を愛用していた時期もありました。

 

ただし、筆ペンやナイロンの筆はちょっとストップ!ダメではないのですが、筆ペンの場合は付属のインクを避けて油煙墨か三歌仙を使ってください。

 

ナイロン筆は僕も試してみましたが、小筆はまだ開発段階といった感じです。筆ペンの中字の方が、まだ小筆の感覚に近い印象です。今後の進化に期待しましょう。

 

ということで、今回は筆についてのお話でした。筆およびその他の道具については下記の動画も参考になるかと思いますので、ご覧ください。

 

https://youtu.be/mJiZB0eihY0

 

 

24/09/28 12:12:16

 

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基本点画と字形の整え方
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賞状筆耕に必須の技術「細楷」つまり細字の楷書ですが、大きく分けると2つの技術が必要になります。

 

・基本点画
・字形の整え方

 

基本点画は文字を構成する、横画・縦画・はらい・はね・点などの要素のことです。

 

字形の整え方は、文字が美しく見えるためのバランスの取り方です。

 

テキストの中盤にこれらの説明があるので、しっかり目を通しておきましょう。また、テキストに沿って動画も作ったので、お時間があるときにご覧ください。

 

 

【全7回】基本点画シリーズ
https://youtube.com/playlist?list=PLmUcGosDVD92Bc0DtU5jIzU18c0GPz4H_&si=bw2nxf1y_v4hHXUI

 

【全8回】字形の整え方シリーズ
https://youtube.com/playlist?list=PLmUcGosDVD925OYV2fORuNkiqLWiABxdE&si=qFgradKSpIO8GWPr

 

 

これらの実践する前に、筆の扱いについても知る必要があります。

 

添削を受けたことがある方は経験があるかもしれませんが、僕はよく「軽く」とか「リラックス」とか「力を抜く」などの言葉を書き入れてます。

 

まず前提として、小筆は軽く持ちます。指に力を入れる必要はありません。グラグラしていてOK、筆が倒れなければいいです。

 

力が入っているかどうかは、賞状を書いてみるとわかります。1枚書いても2枚書いても指が疲れることはありません。

 

座っているのでお尻・腰・股関節が痛くなるかもしれませんけれど、指が疲れることはないのです。

 

筆の持ち方や力の入れ具合もいくつかの動画で解説しているので、こちらも時間があるときにご覧ください。

 

 

小筆のおろし方・使い方・洗い方
https://youtu.be/OA0NpPRtS1U

 

【細字の極意1】毛筆の書き方と『永』『長』『道』から知る小筆の使い方の概要
https://youtu.be/mX0V0YkMhPg

 

 

「習うより慣れよ」とはよくいったもので、知識をつけることよりも実際に経験した方が身につきます。

 

動画を見て習ったら、実際に試してみて慣れていきましょう。